鳥居はなぜあの形?
日本人にとって子どものころからなじみある神社の鳥居。
地図記号にもなるほどメジャーな形ですよね。でも逆に「当たり前」すぎて、知っているようで知らない存在なのでは?
どんな形があるのか、それぞれのパーツの呼び方はなんというのか。
鳥居に関するあれこれをご紹介します。
大きく分けると2つ
神社の鳥居はざっくりと大きく2つ「神明系」と「明神系」に分かれます。特徴はその形。あの横のラインがずばりポイントです。
直線形のものが「神明系」、反りのあるものが「明神系」と言われています。ただ正三角形の鳥居など、なかにはこれに当てはまらない特殊な形もあるようです。
真っ赤な朱塗りの外観が特徴的な宝徳山稲荷大社の鳥居は、直線なので「神明系」になります。ネーミングに関しては諸説さまざま。一説では、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天の岩屋にお隠れになったときに、神様たちが鳴かせた鶏が木に止まったのが「鳥居」のはじまり……というものもあります。いずれにしても起源や名前について研究者は「今なお多くの謎に包まれている」と語っています。
鳥居のパーツにはそれぞれに名前があります。まず横部分のいちばん上を「笠木」と言います。明神系の鳥居では、その下にさらに「島木」と呼ばれる横木を設けています。
ちなみに、笠木や、島木の端っこの部分を「鼻」と呼びます。その鼻に部分が反り返っているのは、ずばり「反り」という名前です。端へ行けば行くほど、反りの厚みが増しているのは「反り増し」と言います。この辺りは、見たままの呼び方ですね。
笠木や島木から下の横木は「貫」です。この「貫」と「笠木・島木」との間にあるのが「額束」になります。神社の名前などが書かれた扁額と呼ばれるものをここ取り付けているところも多いですよね。柱部分に傾斜がついたものは「転び」。上部へ行くほど細くなっているのは「すぼり」と呼ばれているそうです。
これさえ知っておけば「あの縦のスーッと細くなっている部分」とか「横のちょこっと上向いている厚みのあるところ」などと言わずにズバッと説明できますね!
素材あれこれ
宝暦6(1756)年に書かれた「匠家必要記」という書物に「鳥居は神代の神門也。今宮社に用るは神代の遺風にして、木の鳥居を本式とす」とあることから、鳥居の素材には木材を用いるのが正式なようです。
とは言いつつ、じつは平安中期には「鳥居のための木材(ヒノキ)がない!困ったどうしよう!」という問題がすでに起きていたのだとか。さらに木材は耐久性が低いというのも、難点のひとつでした。
そのためでしょうか。現在全国の鳥居の95%が石造りというデータもあります。
またコンクリート技術の発展で、大型の鳥居を造りやすくなったとも言われています。
個性的な形
一説によると、鳥居の形は細かく分けるとおよそ60種類ほどあるのだとか。
最後にひとつ、個性的な形の鳥居をご紹介したいと思います。
それは「両部鳥居(りょうぶとりい)」。これは左右の柱の前後に稚児柱と呼ばれる柱が付いていること。そのため「稚児柱鳥居」や「四脚鳥居」という呼び方もあります。通常鳥居は、参道に向かってまっすぐと見ることが多いですが、この鳥居は斜めから鑑賞することで、その特徴がよく分かります。
ほかにも柱に彫刻が施されたもの、笠木が唐破風のような曲線を描いているもの、小さな鳥居が左右に付いているものなど、まだまだたくさんの形があります。
日本各地で見ることのできる鳥居。細かく鑑賞すると面白い発見があるかもしれませんよ!